ゲーム会社の入社試験の面接に臨んだ時、私はハッとしました。
(ひょっとして、女性社員がいないんじゃ……?)
実際には入社当時、私以外の二名の先輩女性社員がいらっしゃったので、ホッとしたことを覚えています。
それでも当初は、女性社員率が圧倒的に少ない男性の職場でどうなることかと思いました。
ですが実際のところ、人間関係はとても楽でした。
周囲が男性だと、人間関係のアレコレに気を煩わされることがほとんどなかったのです!
お陰様で、仕事に集中することができました。
思えば学生時代の私は、女子グループの独特な空気に馴染めず、孤立気味でした。
高一にもなってグループ全員でトイレに行くとか、一人の秘密をグループ全員で共有しなければならないといったことが、私はどうにも受け入れ難かったのです。
また私は高校時代美術部と漫研に掛け持ちで入っていたのですが、高二になって所属していない女子グループから、漫研というだけで「オタクきもい」など後ろ指をさされて嫌な思いをしたものです。
ちなみに彼女たちは、私がどのような漫画が好きで、どのような漫画を描いていたのかなどは一切知りません。
どうせ後ろ指をさすなら、せめてそういったことを知った上でさしていただきたいものです。
ですがゲーム会社でアニメ・漫画・ゲームが好きだったからといって、後ろ指をさされるというのはまず考えられません。
そして先輩の女性社員のお二人は優しくていい方たちで、とても良くしていただきました。
学生時代と違い人間関係では悩まずに済み、チームメンバーに恵まれたことが、私が数々のデスマーチを乗り切れた一つの大きな理由であったことは間違いありません。
いくつか会社を渡り歩いてきていた方によりますと、女性だけのチームは人間関係がドロドロだったそうです。
もちろん一概に全てそうだとは言い切れないでしょうけれども、私の経験から鑑みても、女性のみで構成されたグループというのは、得てしてそういったトラブルが多く見受けられるように思えます。
いわゆる「女性らしさ」は良い方向に向けば気配りや気遣いという形で現れ、悪い方向に向けばグループ意識が強くなりすぎたり陰湿さが表面化するのかもしれません。
良くも悪くも私は、男性ばかりの職場に飛び込む辺りからしても、女性らしさの要素がだいぶ薄めなのではないかと思います。
私の友人は女性ばかりなのですが、昔からの友人には「あんたは気が利かない」などと、よく言われていました。
そういうわけで幸いにして女性社員にも恵まれた職場環境でしたが、しばらくすると女性社員がお二人とも退社してしまい、それから数年間、女性社員は私一人となりました。
それでも変わらず人間関係に煩わされることなく、男性社員以上にハードに働く日々を送っておりましたが、やはり女性一人というのは流石に寂しいものがありました。
そんなある日、会社の飲み会の時に他社の華やかでお洒落な女性の方たちが数名、参加されたときがありました。
その方たちは、私たちのようなゲーム会社ではなく広報系の方たちだったと思います。ほとんど見た目に構うことすらなかった私などとは毛色が違うのは、一目瞭然でした。
見目麗しい女性の方たちの登場で、多くの男性社員が色めき立ったのを覚えています。
その頃すっかり男性社員に同化していた私は、やっぱり女性がいると空気が違うなぁ……と、思ったものです。
そしてその飲み会の後、大阪支社トップだったお方に「やっぱり女性社員がいた方がいいか?」と問われた私は、「それはいた方がいいですよ~。華やぎますしねぇ」と返しました。
すると飲み会の日から程なくして、再び女性社員が二名増えました。ありがたかったです。
女性のみの閉じられた空間はしんどいですが、女性が一切いない環境も寂しいのです。バランスの問題です。
女性にはもっと増えてほしかったのですが、やはり基本的にゲーム業界は男性の世界なのでしょうね。私が在籍中に、それ以上女性社員が増えることはありませんでした(ほんの一時期、派遣社員の女性はお一人いらっしゃいましたが)。
今は乙女系ゲームが隆盛なので、ゲーム業界も女性が増えたのかもしれませんね。
私が業界にいたころは乙女系はまだ出始めで、「アンジェリーク」と「遥かなる~」くらいしか記憶にありません。
ゲーム業界の男女比率が相変わらずのままで、男性のみのチームが乙女系を量産しているのだとしたら……大変そうだなぁと思います。
……私が乙女系ゲームシナリオにチャレンジして玉砕したお話しは、またいずれさせていただきます。