メダロックライブ(その6)

 メダロックライブレポートも、いよいよ最後の1回となりました。
 今回は……また私がやらかしちゃったお話しとなっております。

波乱の抽選会

 私はライブ会場の一番後ろの左側にあった関係者スペースの中でも、一番後ろにいました。
 ライブ中は、モニターやカメラなどがある一番後ろの中央スペースに待機されていたうのへえ様が、慌ただしく私の目の前を何度も往復されていました。
 糸賀様もうのへえ様のお近くで待機されていたようですが、糸賀様は私がいる場所とは反対側を通られていたようでした。お二人は左右からステージに上がられていた模様です。
 ステージでの出番が多かったお二人は、ステージと中央後ろスペースを行ったり来たりで、とてもお忙しそうでした。

 そしてお二人の軽妙な掛け合いと共に、ライブの途中で抽選会が始まりました。
 この時初めて私は、何も考えずライブ会場の入り口でいただいた抽選券の意味を知って青ざめました。ファンの方々を差し置いて、関係者という立場の私が景品をいただくなんてもっての外だと思ったからです。
 しかも抽選券は娘の分もいただいていたので、2枚……つまり当選確率2倍です。さらにライブ中に会場内で行われたイベントでしたので、辞退を申し出ようにもまったく身動きが取れません。
 カレーくじで「当たり」を出さなかったことでホッとしていた私でしたが、抽選会とお聞きした時は本気で焦りました。
 ですが本来くじ運が無い私は、この時はまだドキドキしながらも「まさか当たらないだろう」と考えておりました。会場には数多くの観客の方々がいらっしゃったのです。どう考えても、当選確率の方が低いはずでした。

 抽選会はステージ上で箱から糸賀様が番号を引かれ、うのへえ様がそれを読み上げられる、という流れでした。
 1番目……何でしたでしょうか!? 覚えていないというより、動揺しすぎて脳に景品名が届いていなかった感じです。
 うのへえ様が「○○番の方~」と番号を読み上げられ、その番号をお持ちの方が高く手を上げられました。
 その様子に私は、
(ととと当選者自己申告形式!?)
……と、もの凄く動揺しました。
(いや、当たらなければ問題ない)
 そう考え何とか気を取り直した私は、次の抽選結果を固唾を飲んで待ちました。
 2番目はMEDAROCKSの皆様との写真撮影会の権利、だったと思います。
 糸賀様より、「当たった方はSNSにその写真をアップする」という条件も出されていました。
 とはいえもちろん強制ではありませんし、顔を出すも隠すも当選者の自由ではありました。ですがそれを聞いた私は、
(もしも私にこの権利が当たったら、責任を取って私も顔出しを……?)
……などと誰得なことを考えるほどに、激しく動揺し著しく混乱しておりました。

 当選者は各景品ごとに複数いらっしゃいましたので、番号が読み上げられるたびに私の鼓動は高まりました。
 そして2つの抽選ともに私が当選することはなく、ホッと胸をなでおろしたところ……。
 ステージから「これだけでは終わりません!」といった声が聞こえてきて、私の心臓は跳ね上がりました。3つ目があったのです。
 そして番号が1人目、2人目と読み上げられ……最後の1人となった時だったと記憶しております。
「28番です!」
 うのへえ様がついに、忘れもしないその番号を口にされたのです。
 普段くじに当たることなどまずない私が、何ということでしょう!
 昔からやらかし人生だった私が、最後の最後で見事に当選いたしました。
(当たったーーーーーっ!! どどどどーしよー!?)
 この事態に、私はあり得ないほどうろたえました。視線とゼスチャーで私の前にいた娘に助けを求めましたが伝わりませんでしたし、伝わったところで娘としても私を助けようもありません。私はそんなことすら分からなくなっておりました。
 当選者は、手を上げるルールです。
「あれー? 28番の方、いらっしゃいませんかー?」
 うのへえ様がステージを見渡し、会場の皆様も当選者の姿を求め騒めき始めました。
 この状況では「当選権はファンの方に」などと、とても言い出せません。言ったところでステージに私の声が届くはずもなく……。
 このまま私がスルーすれば次の方に当選権が回るのでは、という考えも過ったのですが、それも流れ的に良くないと思いましたし、そうなったらなったで時間を取られるのは間違いありません。そして時間に余裕が無いのは明らかでした。……何より、とにかくその時は熟慮する余裕などありませんでした。
 これは手を上げるしかないと、私は観念して手に持つペンライトを高く掲げました。
「おっ、いらっしゃいましたね!」
 私の挙手に気づいてくださったうのへえ様のお言葉と私に向けられたその視線に、会場の皆様がザッと一斉に後ろを振り向かれました。
 会場の一番後ろにいた私に、一瞬にして皆様の視線が集まったのです。観客スペースの照明が暗くて顔までは分からなかったであろうことが、せめてもの幸いでした。

 そして(私の中では)波乱の抽選会が終わり、中央後ろのスペースに戻られたうのへえ様は、私の目の前を通られる際、一言「おめでとうございます」というお言葉をくださったのでした。
 ステージのアーティストの皆様と観客の皆様との距離が近かった会場のこと、うのへえ様が私の居場所をご存じな時点で、当選者が私であることは当然お分かりだったのです。
 また関係者スペースにいらっしゃった方々の中で、一見したところペンライトを手に持ち振っていたのは私と娘だけだったので、目立つのも当然でした。
 驚愕の事態に真っ白になっていた私は、その時お声を掛けてくださったうのへえ様に、何も言葉をお返しすることができませんでした……。

メダロックサイン入りポスター
その日の夜にホテルで撮影したサイン入りポスターの写真です

 ファンの方々に申し訳なくて申し訳なくて、一部終了後にお見掛けしたうのへえ様に、私は「こちらはファンの方に……」と申し出たのですが、うのへえ様には当たった方のものだとおっしゃっていただきました。

 ファンの皆様とは立ち位置が異なったために、 私はアーティストの方々のサイン入りポスター当選に激しく動揺しました。ですが、ポスターをいただけたこと自体はとても嬉しくもありがたい出来事でした。
 大切にさせていただきます。
 家宝として、 代々受け継いでいきたいです。

 ところで、以前私は以下の絵を描いてツイッターに載せたことがありました。

メダロックCDのMEDAROCKSの皆様のカッコいいお写真の片隅に小さくシールにして貼って混ぜてもらおうと描いた、私を盛った絵です(雑)

 本当にこの絵をMEDAROCKSの皆様のお写真ページに貼っちゃうのは、せっかくのカッコいいレイアウトとビジュアルが台無しになってしまう大変に無謀な行為ですので、ロボロボ団でもドン引きです。
 この絵自体はネタですが、後にhana様に私もMEDAROCKSの一員だとおっしゃっていただけたのは、本当に嬉しかったです。
 もちろんMEDAROCKSの一員に加えて頂けたからと言って、家宝のポスターに私のサインを加えて台無しにしたりとかはいたしません。
 そもそも私は人様に向けてサインをしたことがなく、自分のサインがありません。
 試しにサインを考えて書いてみました。

マウスで一発書きです

……こうですか? 分かりません!
 タブレットをつなぐのも面倒だったのでマウスで一発書きしてみましたが、我ながらなかなかの酷さです。
 例えるならミミズがのたくった感じ、とでも申しましょうか。
 家宝のMEDAROCKポスターにはもちろんのことながら、私は人様にサインさせていただくなんてことは、考えないほうがよさそうです(それ以前に需要が……)。

 私のサインの話はともかくとして、私は個人的に波乱だった抽選会で真っ白にもなりましたが、ライブはうのへえ様、糸賀様、出演アーティストの方々のMCや、ドラムののんたん様による楽しい「リズム遊び」などもあり、とても楽しめました。
 ライブはテレビや動画などと違って、ステージ上のアーティストの方々と会場のファンの方々の一体感が味わえるところが、最高ですね!

メダロックライブを終えて

 一部終了の興奮も冷めやらぬ中、アルコール入りとは思わずドリンクを注文し、いただきましたが、とてもおいしかったです!(もちろん娘はノンアルコールでした)
 アルコールが並ぶドリンクメニューに、「あの頃小学生だったプレイヤーの方々が、大人になられたんだなぁ」と感慨深かったです。

 1部のライブは約2時間あったので、2部まであまり時間がありませんでした。
 超タイトなスケジュールの中、ほるま先生と萌花様のサイン会が行われ、うのへえ様と糸賀様がファンの方々と触れ合い、サインや写真撮影、握手などに笑顔で快く応じていらっしゃる光景を拝見しておりました。
 そんな超ご多忙な合間を縫って、申し訳なく思いつつも私は何とかうのへえ様にご挨拶させていただきました。するとちょうどそのタイミングで、糸賀様が目の前を通りがかられました。
「糸賀さん、平野さんに気づかれてました?」
「うん、気づいてたよ。でも、言うわけにいかないでしょ?」
 うのへえ様の問いかけに、糸賀様がお答えになりました。
 私は一番後ろにいたにも関わらず、糸賀様にも気づいていただけていたのです。
 私は嬉しく思う一方で、
(ということは、ポスター当選の件もすでにお気づきなんだろうなぁ)
……などと、考えていたのでした。

 以下にご紹介するのは、ライブ会場のプレゼントボックスにご投函いただいた、ファンの方々から私へのプレゼントです!
 2名の方からいただきました。
 私にもプレゼントをいただけるなんて思ってもみなかったことでしたので、感涙ものでした!

メダロットグッズコレクション冊子です。
フルカラーです! すごいラインナップです!
(匿名希望とのことでしたので、ペンライトでお名前を隠しております)
アルゼンチンで発売されていたという、ヒカルです。レアです!
やたくろー様よりいただきました。
私が描いた、初代メダロットのメタビーとロクショウのドット絵をアイロンビーズで作っていただきました。

 メダロットグッズコレクションの冊子とヒカル人形は同じ方からいただいたのですが、内容の不備で私に迷惑をかけてはいけないと、匿名希望とのことでした。優しいお気持ちが染み入ります。
 とはいえ分かる方には分かる、数多のメダロットグッズを所有されているお方です。
 メダロットグッズコレクションはフルカラー写真満載で、詳細で丁寧なご説明つきです。私が存在すら知らなかったグッズ情報も、たくさん載っていました!
 私だけでなく、より多くのファンの方々にもご覧いただきたいです。
 やたくろー様よりいただいたアイロンビーズのメタビー、ロクショウは力作です! ハイクオリティです!
 私の白黒4諧調のドット絵を忠実に再現して下さっています。

 お二方からのプレゼントの内容も素晴らしいものでしたが、何よりそのお気持ちが嬉しかったです。
 メダロットを長く深く愛し続けてくださっているファンの方々がいらっしゃったからこそ、今回のメダロックライブが実現したのは間違いありません。
 メダロックの楽曲とライブの制作に関わったすべての方々と、メダロットを支え続けてくださっているファンの方々に、心よりお礼申し上げます。
 本当にありがとうございました。

……正直なところ、私は耳がいい方ではないので、楽器の音の種類を正確に聴き分けられている自信がありません。さらにロックの専門用語といった音楽知識も、ほとんどございません。
 hana様のお手より紡ぎ出されていた、時として不思議で時として美しいエフェクトの数々に至っては、「今の……何!? どういう音!? 文章でどう書き表せば!?!?」といった体たらくでした。
 私が今回のメダロックライブレポートを書かせていただくにあたっては、困難の連続でした。
 聴こえてきた音に関して間違ったことを書いていたり、表現がおかしかったりしないかということが気になり、レポートを書き上げるまでに多大な時間を要したのです。
 私はシナリオを書く手は早い方だと自負しているのですが、今回のメダロックライブレポートでは肝心の楽曲部分のレポートは困難を極めた割に、目を見張るようなことは書けておりません。
 そんな私の拙い表現でも、ライブの臨場感やカッコよさ、楽しかったことなど、ほんの少しでもお読みくださった皆様にお伝えできていればと思っております。

 ライブを全力で楽しまれていたファンの皆様の笑顔を拝見し、改めて私は多くの方々に楽しんでいただけるエンターテイメントの素晴らしさを実感しました。
 メダロックライブでは、いつもならば皆様に楽しんでいただく側の私も存分に楽しませていただきました。
 メダロットのゲーム発売から20余年。
 私自身その間人生色々ございましたが、やはり私は今でも自分の作品でより多くの方々に楽しんでいただきたいと思っているのだと、メダロックライブを通じて再確認できたように思います。
 熱はまだまだ燃え盛っております!

メダロックCDとブラックビートルを期間限定のMEDAROCKロゴ入りで撮ってみました

……メダロックライブレポートは今回で終了ですが、私は今後も様々な形で頑張っていきたいです!
 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

9+

メダロックライブ(その5)

18.M・R・1

「ここから全てが始まりました」
 というお言葉と共に、メダロット1のオープニング曲、「M・R・1」が始まりました。
 ロックアレンジされた「M・R・1」の生演奏と共に、大画面には次々とかつて私が描いた白黒4諧調のドット絵がスクリーンに映し出されていきました。
 メダロット2以降は私が描いたドット絵は無かったのですが、「M・R・1」では私の絵で大画面が埋め尽くされたのです。それまでの曲とは、また違った感動がありました。
 ゲームボーイのごく小さな画面で私が描いた世界が、ライブのステージの大きなスクリーンに映し出される日が来るなんて、夢のようでした。
 とても嬉しい反面、大写しにされることが少し恥ずかしくもありました。
 ゲームボーイのドット絵は、小さなゲームボーイの画面で見ることを前提に限られたドット数で描かれた絵のため、ステージの大きなスクリーンに映し出してお見せすることは想定外だったのです。
 白黒4諧調のドット絵と、ロックな生演奏のコラボです。
 アレンジで追加された部分もまた、まさにロックというカッコよさでした。
 ドラムで始まり、ギターの唸りと呼応するようなキーボードの音色、低音で楽曲に深みを出すベース、時に変則的に叩き方が変化するドラムは全体のリズムを乱すこともなく、本当にお見事でした。
 メダロットのオープニングは、シリーズ通じてどれもロックアレンジがとても似合いますね!

 それにしても大画面にはロボトルシーンなどに交じって、女子トイレ侵入シーンが出てきたところにも、映像を作られたスタッフの方のこだわりとメダロットらしさを感じました。

娘がマイクラで作ってくれた、メダロット1カブトバージョンのタイトル画面です。

 娘はマイクラで、私がやらかしていたドットの抜けとズレまで忠実に再現してくれました。
 メダロット1から20余年。私は娘に指摘されるまで、自ら描いたタイトル画面のドットの抜けとズレに気づきませんでした(クワガタバージョンのタイトル画面にも、同じく抜けとズレがあります)。
 私たちが作ったメダロットが発売20周年に3DSでクラシックスとなって蘇り、私のドット絵をファミ通様の紙面にドーンと載せていただいた時は、心底驚きました。
 さらにメダロットSのプロモーション動画では、私が描いたタイトル画面をトップで表示していただいたのですが、ドットの抜けとズレは当時のままなのです。
 お恥ずかしくも申し訳ない限りであります。

 他にも私はメタビー、ロクショウのドット絵を先生のデザインからアレンジしすぎて別人ならぬ別メダにしてしまっていたり、手が回り切らずイベントで使われないままの謎アイテムが大量に残ったりと、メダロット1にはあれやこれやとございます。
 ですがこのメダロット1があってのメダロットシリーズであり、「ここから全てが始まった」のです。
「ティンペット+頭部+右腕+左腕+脚部+メダル」というメダロットも、ロボトルの基本システムも、メダロット1があってこそでした。
 ゲーム制作当時、「M・R・1」の原曲を初めて聞いた時に私が感じた「カッコいい!」という痺れるような感覚と感動が、大迫力のライブで体感できたことにより、鮮やかに蘇りました。

 そして「M・R・1」の後は、アンコールの嵐でした。アンコールのタイミングも分かってらっしゃるとは皆様、流石です。
 みんなでロボロボを歌わずして帰れるわけがありませんからね。

19.OVERTHiNKiNG BOY

 アンコールの後EXiNA様がご登場し、圧倒的パフォーマンスで会場を盛り上げてくださいました。
 会場があっという間にEXiNA様色に染まりました。EXiNA様の存在感はものすごく、凄まじいばかりのパワーを放たれておりました。
 EXiNA様のライブを体験されたうのへえ様が、糸賀様にメダロックの制作をご依頼されたというお話しも納得です。
 EXiNA様はメダロットSのイメージソング、「OVERTHiNKiNG BOY」を歌われました。
OVERTHiNKiNG BOY」というタイトルは、EXiNA様ご自身や多くの人々にも当てはまるであろう「気がついたら考えすぎちゃってた」状態を表しているとか。
 図らずもこのタイトルは、イッキを彷彿とさせました。イッキはメダロットとメダロッターの関係について、考えすぎるぐらい考えこんでいた少年でしたからね。
 EXiNA様の堂々としたMC、声量、歌唱力、どれをとっても圧巻でした!
 EXiNA様は、まだ二十代前半の娘さんとは思えないオーラと輝きを放つお方でした。

……ちなみに私はEXiNA様の年齢の頃、ゲーム制作でオフィスにこもりきりの生活でした。ファンの方々の前に立つことなど、考えられませんでした。
 EXiNA様と私の過ごし方は対照的だったかもしれませんが、自分の作品で多くの方々を楽しませたい! という思いは、共通するものがあると思います。
 ステージの上から「楽しんで!」という心意気が伝わってきて、とてもアツい気持ちになれました。
 EXiNA様が皆様に向けてメダロットファミリーだと言ってくださったこと、本当に嬉しかったです。

20.M・R・4

 続く「M・R・4」……メダロット4のオープニング曲が始まり、ステージの大画面にはオープニングデモの映像が映し出されました。
 さらわれたカリンと、謎の四天王、そしてその頂点に立つラスボスのシルエットが浮かび上がり――。

さらわれた カリンの行方

共にたたかう仲間たち・・

なぞの少年
――――ミズチ

四天王とは?
そして・・・

新たなる
たたかいへ!

出典:メダロット4 

 メダロット1にはオープニングデモはありませんでした。
 そしてライブの大画面でも映し出されていたメダロット2、3のあのカッコいいオープニングデモに関しましては、全てグラフィッカーさんが考えて作成してくださったものでした。
 ですがこのメダロット4のオープニングデモの絵コンテと上記のセリフは、私が描(書)いて発注したものです(合間に挟まるカブト・クワガタが出るスクロール絵は、グラフィッカーさんが独自に挿入されたものです)。
 ライブの大画面でメダロット4の思い入れのあるオープニングデモが見られて、感激でした。

……余談ですが、「四天王とは?」のシーンの絵コンテ、四天王のシルエットの上にラスボスのシルエットをエクセルで描いた絵コンテをグラフィッカーさんにお渡ししたのですが、私はラスボスオロチがこう……両手をグワッ! と突き出す図にしていたんです。
 そうしたら両手とも親指の位置が左右逆になっており、当時のグラフィッカーさんには「手、逆……」と苦笑いされてしまいました。
 デスマーチで疲弊していたとはいえ、グラフィッカーの端くれとも思えぬ己のこの失態に、私も苦笑するしかなかったという痛ましい記憶も蘇りました……。
 本当に私は、色々とやらかしております。

 そしてメダロット4のオープニングデモに続いて大画面に大写しにされたのは、メイド少女姿のイッキと四天王の一人、コクエンのシーンでした。
DARK NIGHT」でご紹介した四天王の一人、「玄武のコクエン」。
 各地から花嫁候補としてかわいい女子小学生たちを集めさせていたコクエンが最も心奪われたのは、花園学園一の美少女でヒロインの一人でもあるカリン……ではなく、メイド服で女装したイッキでした。

 ライブ中大画面に映し出されていたのは、メイド姿のイッキが男だということがコクエンにバレる前後のシーンのように思いました。
 メイド絡みのイベントであったことだけは覚えております。

コクエン「カリンちゃんはねぇ
 ここには いないんだぁ
 だ・け・ど
 あとで その分 アリカちゃんを
 かわいがって あげるからねぇ💛」
イッキ(ひ~~~~~~っ
 たすけて~~~~~~~っ!!)

出典:メダロット4 

 さらわれたカリンの行方を探るため、アリカによりメイド姿に扮装させられたイッキは、せめてもの仕返しにと自らをアリカと名乗っておりました。
 そして親友コウジのピンチに、イッキは我が身の危険もかえりみず飛び出していったのです。

コウジ「イッキ・・・だよな?
 お前?」
コクエン「たたかうすがたも りりしく
 うつくしい・・・
 ・・・じゃない!
 きさまっ 何者だ!?」

出典:メダロット4 

……ここで一枚絵が入ります。
 メイド姿から元の姿に戻ったイッキを中心に、コウジとコクエンが描かれています。
 この一枚絵、当時私はメイド姿のイッキにするかどうかで悩んだのですが、流石にやりすぎかな? と思ってメイド姿はやめておきました。どこかからストップがかかって、リテイクを出されることを恐れたのです。追加料金と納期の問題が私の脳裏をよぎったのです。
 ですがその後のコクエンの暴走に一切ストップがかからなかったあたり、無用の心配だったのかもしれません。
 私は一枚絵の発注は全てエクセル絵による絵コンテでしていたように思うのですが、データはあまり残っておりません。
 オープニングデモに続き、こちらも私のエクセル絵無しでご覧ください。

コクエン「なぬ! 男!?」
イッキ「ぼくは テンリョウ イッキ
 コウジを つれもどしに 来た! 」
コクエン「きさまが あの
 テンリョウ イッキか!
 くーーーーーーっ オレごのみの
 女の子に ばけて
 オレを だますとは ゆるせんっ!!
 見ていろっ!!」

出典:メダロット4 

 イッキが男だと分かってからコクエンは、私がイベントスクリプトを担当していたクリア直前の章までは正気を保っていました。
 ですがクリア後にバイト氏にコクエンのイベントをお任せしたところ、コクエンはイッキを男と知りながらファンクラブまで作って「メイド少女~」とイッキを追い回すようになってしまいました。
 種をまいたのは私ですが、バイト氏の手によりコクエンはまごうことなきヘンタイ四天王随一のヘンタイへと進化を遂げたのでした。
……ステージの大画面にメイドイッキとコクエンのイベントが映し出されたあたり、やはりコクエンは己のコンプレックスに苦悩したり、改心して自らを危険にさらしてでもイッキに協力した姿より、ヘンタイのイメージの方が強烈だったのだな、と私は改めて思いました。

 思わぬ映像にゲーム制作当時の様々な記憶が蘇ってきておりましたが、「M・R・4」のカッコよさは、しっかりと私の身と心に押し寄せ響いていました!
 ギターとベースの音から始まって、ドッドッドッドッという心音のような音に、ドラムとキーボードの音も合わさっていきました。
 ギターの金属的な音とベースの低音が互いを引き立てあい、キーボードの旋律が彩りを加え、ドラムが時に引き締め、盛り上げる……!
 これだけ様々な音があって少しもズレたりしないのが本当に凄いです!
 どの曲にも言えることでしたが、あまりのカッコよさに魂が震えるようでした。
 最後の余韻の後、スタートボタンを押したらイッキの「メダロット4!」というタイトルコールが聞こえてきそうでした。

21.愛しきロボロボ団 (inspired by “ロボロボだん”)

 そしてライブもいよいよ最後の一曲。萌花様の「愛しきロボロボ団」となりました。
 この「愛しきロボロボ団」というタイトルは、私が歌詞を書き終わった後につけていただいたものです。
 私はロボロボ団員のゲームでの所業を歌詞に詰め込んだのですが、その結果、ロボロボ団のテーマは愛おしさに溢れたものとなっておりました。

 以下、「イカ焼き 耳だけ食べて捨てる」のイベントです。

イッキ「ロボロボ団!」
ロボロボ団員「イカやきの 耳だけ 食べて
 のこりは すてるロボ!」
イッキ「なっ・・・何て
 もったいないことをっ!
 食べものを そまつに するヤツは
 ゆるさないぞ! ロボロボ団!」
ロボロボ団員「ゆるさなければ どうするロボか?」
イッキ「こうするに きまってるだろっ!」
(ロボロボ団員とロボトル)
ロボロボ団員「どうして いつも 勝てないロボかー」
ロボロボ団員「こうなったら さいごの
 しゅだんロボ!」
(ロボロボ団員逃亡)

出典:メダロット4 

……この後、ロボロボ団員は無事に退治されました。
 私は先生の漫画に出てきた、「イカ焼きを耳だけ食べて残りは捨てる」というロボロボ団員の所業にロボロボ団の「悪の美学」を感じ、それをゲーム内のイベントにも取り入れさせていただいたのです。

「自分で仕掛けた ワナにかかる」「メダロッチにも入れちゃう」は、ゲーム内の一つのイベントで起こった出来事でした。

コウジ「・・・何やってんだ? お前」
ロボロボ団員「自分で しかけたトラップに
 引っかかったロボ!
 たすけてロボ!」
イッキ困「しょうがないな・・・」
(イッキは、ロボロボ団に被さった籠をどけてやる)
ロボロボ団員「たすかったロボ
 ありがとうロボ」
イッキ「それは よかった
 ところでさ ピンクのオーバーオールの
 女の子 知らない?」
ロボロボ団員「その子なら われわれの
 アジトに いるロボよ」
イッキ「やっぱり・・・」
コウジ「さぁ~ あんないしてもらおうか?」
ロボロボ団員「ロ・・・ロボッ?」
イッキ「アリカに 何か あったら
 ゆるさないぞ!」
ロボロボ団員「そ その シンパイは む・・・」
コウジ「その シンパイは ムダだと!?
 いそぐぞ イッキ!!」
イッキ「うん アリカを たすけに行こう!」
ロボロボ団員「それじゃ おれは
 かえらせてもらうロボ」
コウジ「にがすかッ!!」
ロボロボ団員「ロボーーーー!?」
イッキ「あ ロボロボが メダロッチに!!」
イッキ「・・・・・・・・・・・・」
コウジ「・・・・・・・・・・・・」
イッキ「ま いっか ロボロボだし」
コウジ「そうだな ロボロボだし」

出典:メダロット4 

……ちなみにロボロボが仕掛けたワナには、セレクト隊もはまります。
 セレクト隊はロボロボ団を取り締まる立場の、正義の組織のようなものです。
 ですがやることなすことロボロボ団員と同レベル、時としてそれ以下のセレクト隊は、イッキたちを助ける回数より邪魔する回数の方が多かったかもしれません。
 セレクト隊が有能だと、ロボロボ団が駆逐されてしまいますしね。

「一匹いれば三十匹」は、ゲーム内で複数のキャラクターが事あるごとに言っておりました。
 中でも以下のイベントが夏に出る例のアレを彷彿とさせ、恐怖を誘うのではないでしょうか。

イッキ「なんで こんなに
 ロボロボが いるんだろ?」
アリカ「そりゃ ロボロボは 1ぴき見つけたら
 30ぴきは いるって 言うからねー」
イッキ「こわいこと 言わないでよ・・・」
アリカ「なによ あんた こわいの?」
イッキ「べつに こわくは ないよ」
アリカ「ロボロボの 1ぴきや2ひき・・・」
(イッキが見えない位置から、ロボロボ×2が出てきて走り去る)
アリカ「3びきや 4ひき・・・」
(ロボロボが複数出てきて走り去る)
アリカ「5ひきや 6ぴきや 7ひきや
 8ぴきや 9ひきや 10ぴき・・・」
(ロボロボが大量に出てきて走り去る)
イッキ「アリカ?」
アリカ「な なんでもない なんでもない!!」

出典:メダロット4 

「男の子から おかし奪う」は、言葉通りのイベントでした。

ロボロボ団員「そのおかしを よこすロボ!」
男の子「何するんだよ やめろよ!」

出典:メダロット4 

「女の子 さらってみたら返り討ち」のエピソードに関しましては、メダロックレポート(その3)の「心の在処」でご紹介いたしました。

「ロボロボに愛の手を」は、メダロットにも人間扱いしてもらえなかったロボロボ団員の叫びです。
 イッキは山に住んでいたメダロットたちに、焼き芋を焼こうとして山火事を起こしたロボロボ団を懲らしめるように言います。
 そして「メダロット三原則」により人間を攻撃できないはずのメダロットたちは、ためらいもなくロボロボ団員たちを吹っ飛ばしたのです。

イッキ「アオダイショウに アカダイショウ!
 思いっきり やっちゃっていいよ」
(メダロットたちにボコボコにされるロボロボ団員たち)
ロボロボ団員「われわれも 人間ロボーーーッ!!」
ロボロボ団員「ロボロボ団にも
 アイの手をーーーっ!!」
(遙か、空のかなたへと吹っ飛ばされていくロボロボたち)
イッキ「ホームランだな」
アリカ「しかも 場外ね」
コウジ「しっかしよー なんで
『メダロット3げんそく』は
 ロボロボ団には
 てきようされないんだ?」
イッキ「ゴキブリなみの
 せいめい力だからじゃない?」
アリカ「・・・って いうかさ
 メダロットたちには あれが
 人間だって 分からないんじゃ?
 あたしたちだって ちゃんと
 かくにんしたこと ないのよ?」
イッキ「そういえば・・・」

 メダロット2以降、ロボロボ団員たちの衣装は「黒タイツ+サングラス+一本角」というスタイルから「ヘルメット+全身スーツ」というものに変化しました。
 生身の部分が全く見えなくなったのです。
 私はそんなロボロボ団員たちを「ロボロボ」という種族として扱うようにしました。
 それ故にロボロボ団員たちは、メダロットたちやメダロッチにまで人間と認識されず、成敗されたり転送されたりしたのです。
 ロボロボ団幹部たちに関しましては、従来通りの「黒タイツ+サングラス+二本角」というスタイルだったので、顔の一部が見えておりました。
 ですので私は幹部たちのみ、ロボロボ団であっても人間という扱いにしていました。

「あんまりいじめないでロボよ」は、悪事を働いてもどこか憎めないロボロボ団員たちらしいセリフです。
「どうして いじめるロボー!?」「いっ いじめないでロボー!」など、ロボロボ団員たちはゲーム中、イッキたちにやられた時などに言っておりました。
 ロボロボ団員たちは、ロボロボ幹部らからもぞんざいな扱いを受けていましたしね。
 基本的にロボロボ団員たちの日頃の行いのせいとはいえ、あまりいじめすぎると今度は逆にかわいそうに思えてしまう……そんな愛しきロボロボ団員たちです。

「ごほうび 目指して」「なんで 最後は こうなるの」は、ごほうび目指して日々悪事に励んでいるロボロボ団員たちが最後はいつもイッキたちに負けて、「けっきょく こうなるロボね・・・」とぼやいていたところからです。

「不滅の ロボロボ団」「愛と 野望が詰まってる」という歌詞に関しましては、ロボロボ団員の台詞にこういうものがありました。

ロボロボ団員「ロボロボ団は ふめつロボ!
 われわれのバックでは いつも
 ソウダイな ヤボウが
 うずを まいてるロボよ!」

「バックでは」という台詞が、哀愁を誘います。
 ちなみに、「我らは 素敵な ロボロボ団」という歌詞の候補もありました。この歌詞はアニメのキャラクターソング、「素敵ロボロボ団」をイメージしていました。

……以上のように、「これでもか!」というほどに、「愛しきロボロボ団」にはゲームの要素をギュウギュウに詰め込んでおりました。
 また「これが悪というものだ」という歌詞もありますが、ロボロボ団員たちは度を過ぎた悪を目にすると、「それはひどすぎるロボ」「さすがにわれわれでも、そんなひどいことはできないロボ」といった反応を示すようにしておりました。
 ロボロボ団幹部があまりに行き過ぎたエグイ命令を出したりすると、ロボロボ団員は抵抗感を持つのです。
 ロボロボの悪の美学を貫こうとする限り、ロボロボ団の世界征服の道は遠そうです。ロボロボ団員には、「ロボロボ三原則」でもあるのかもしれません。

 そんな壮大な愛と野望が詰め込まれた「愛しきロボロボ団」は、かわいらしい萌花様の歌声とMEDAROCKSの皆様の演奏、そして会場のファンの皆様が一体となりロボロボを大合唱するという、最高の大団円を迎えました!
金魚鉢になってからかわいらしさを増したロボロボ団員でしたが、16歳の現役女子高生である萌花様が歌われることで、そのかわいらしさは最高レベルにまで達しました。
ロボロボ団員がここまでかわいらしくなってしまうと、心おきなくやっつけることはできません。悪事を働いても笑顔で許してしまいそうです。入団者も殺到することでしょう。……例え自給300円の超ブラック団体でも。
 萌花様の「なんで最後はこうなるの?」で、ライブ会場全体がロボロボ団のアジトになった気がしました。
 そしてうのへえ様渾身の、エコーが掛かった「ロボーーーッ!!」が何度も会場に響き渡りました。
 本当に渾身の「ロボーーーッ!!」だったので、この後二部が控えていることを思うと、うのへえ様のお喉が心配ではありましたが、素晴らしかったです!

……ライブで演奏された楽曲のレポートは以上となります。当時のゲームネタもふんだんに盛り込みましたのでかなり濃密になったと思いますが、いかがでしたでしょうか?
 メダロックライブレポートは今回で終わ……りません。まだ続きがあります。
 あと1回です。最後までお付き合いいただければ幸いです♪

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